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先天性心疾患

《心室中隔欠損》

 心室中隔欠損は最も頻度の高い先天性心疾患の一つです。その頻度は出生1000人に1.6人と報告されています。心室中隔欠損は傍膜様部心室中隔欠損、筋性部心室中隔欠損、動脈下漏斗部心室中隔欠損の3種類に分類されますが、その中でも最も多いのが傍膜様部心室欠損です。傍膜様部心室中隔欠損の特徴は、欠損孔の後下縁が中心線維体と連続する線維性構造となっている点です。心エコー図検査は心室中隔欠損の解剖を詳細に評価できます。この動画は傍膜様部心室中隔欠損の大血管基部短軸断面に相当しますが、欠損孔の背側には筋成分がなく線維性構造であることが分かります。カラードプラ画像では、心室中隔欠損孔を介して左室から右室に短絡血流が吹き出しているのが分かります。短絡血流が多いと乳児期早期に肺鬱血を来たし、多呼吸、哺乳力低下、または体重増加不良などの症状を呈します。約半数において自然閉鎖することがありますが、症状が強い場合や肺高血圧を合併している場合には手術による欠損孔閉鎖が必要となります。

 

傍膜様部心室中隔欠損のカラードプラ画像

 


 

《心房中隔欠損》

 心房中隔欠損も頻度の高い先天性心疾患の一つで、全先天性心疾患の約10%を占めています。おおよそ1000人に1人の割合で認められ、男女比は女:男=2:1と女性に多い先天性心疾患です。心房中隔欠損には二次孔欠損、一次孔欠損、静脈洞欠損、または冠静脈洞欠損などがありますが、殆どは二次孔欠損が占めます(75%)。欠損孔を介してコンプライアンスの高い右室へ血液が流れ込み、右心系の拡大と肺血流の増多を認めます。二次孔欠損では乳児期のサイズが5mm以下であれば自然閉鎖することがありますが、8mm以上の欠損孔では自然閉鎖することは稀です。身体所見としては、前胸部の突出(bulging)、傍胸骨心尖拍動、Ⅱ音固定性分裂、胸骨左縁上部の収縮期駆出性雑音、または、胸骨左縁下部の拡張期ランブルなどを認めます。欠損孔の短絡量が多い場合には、成人期に心不全、肺高血圧、心房性不整脈(心房細動や洞機能不全)を合併します。治療は、カテーテル治療、または開心術による閉鎖が行われていますが、現在日本では3種類のカテーテル治療のデバイスが使用可能となっています。

心房中隔二次孔欠損の心尖部四腔断面像

 

心房中隔二次孔欠損のカラードプラ画像